競艇予想を 数学的に正しく読み解くための「期待値計算」 の基礎を、 元IT系データサイエンティスト10年・NUS統計学修士の編集長が 整理します。 数式が出てきますが、 概念は シンプル。 一度理解すれば 競艇予想の「データ的な読み方」 が 一気に変わります。
還元率75%の意味 ─ 何もしなければ 必ず負ける構造
最初に押さえるべきは、 競艇は 還元率75%の公営競技だということ。 これは「ユーザー全体が 100円賭けると 平均で 75円が ユーザー側に 戻る」 構造で、 残り25%は 主催者 (国土交通省所管) の運営費・公益事業財源 に なります。
何を意味するかと言うと、 全レース・全買い目を ランダムに買い続けると 期待値 -25%。 100,000円賭けて 平均で 75,000円戻り = 25,000円のマイナス、 という数字に必ず収束します。 これが「カジノ的に・長期的に・ユーザーが負ける構造」 の数学的根拠です。
ただし この 75% は「全体平均」 です。 個別の買い目で見れば、 期待値プラスの局面 (オッズの歪み・人気の偏り・選手の過小評価) は 統計的に 存在します。 これを見つけて 絞って買えば、 長期的にプラスを残せる可能性が出てきます。
期待値の計算式
期待値 (Expected Value, EV) は 以下の式で 計算します。
期待値 = (的中確率 × オッズ × 投資額) − 投資額
具体例で考えます。 1号艇・1着の オッズが 1.5倍で、 ユーザー側が「1号艇は 70%の確率で1着になる」 と 推定したとします:
期待値 = (0.70 × 1.5 × 1,000円) − 1,000円
= 1,050円 − 1,000円
= +50円
→ 100回 同じ買い目を買えば、 平均で 1回あたり +50円のプラス。 期待値プラスの買い目です。
逆に、 1号艇・1着のオッズが 1.2倍で、 推定確率が 70%なら:
期待値 = (0.70 × 1.2 × 1,000円) − 1,000円
= 840円 − 1,000円
= -160円
→ 100回買えば 平均1回あたり -160円。 期待値マイナス・買ってはいけない買い目。
シンプルな計算です。
オッズから 期待値を 逆算する
実際の予想で 期待値プラスを 見つけるには、 オッズから「逆算した的中確率」 を 計算します。 オッズに 還元率75%を 加味すると:
オッズから逆算した的中確率 = (1 ÷ オッズ) × 0.75
例:
- オッズ 1.5倍 → (1÷1.5) × 0.75 = 50%
- オッズ 2.0倍 → (1÷2.0) × 0.75 = 37.5%
- オッズ 5.0倍 → (1÷5.0) × 0.75 = 15%
これが「市場 (買い目を買ったユーザー全員の集合) が 推定している的中確率」 です。 ユーザー側が「実際の的中確率」 を これより高く 推定できれば、 期待値プラスの買い目になります。
例: オッズ 5.0倍 (市場推定確率 15%) の買い目で、 ユーザーが「過去データから この買い目は 20%の確率で当たる」 と 推定できれば、 期待値プラス。 推定が正しければ。
「実際の的中確率」 をどう推定するか
これが最も難しい部分です。 編集長の場合、 以下のデータを Excelで 全件記録して、 統計的に確率を 推定します:
- 選手の直近成績 (勝率・連対率・3連対率)
- 場別データ (進入別・コース別)
- モーター成績 (節間別・対戦相手別)
- 気象条件 (風向・風速・気温・水温)
- スタートタイミングの傾向 (平均ST・F履歴)
これらを 過去2-3年分 集計して、 「特定の選手 × 特定の場 × 特定の進入 × 特定のオッズ」 の組み合わせで、 過去の的中率を 計算。 オッズから逆算した市場推定確率と比較して、 ユーザー側推定の方が 高ければ 期待値プラスと判定して買う、 という運用です。
統計学的には「ベイズ推定」「最尤推定」 等の手法が 厳密ですが、 実用上は「過去N回の発生回数 ÷ 過去N回の試行回数」 という単純な頻度確率で 十分な精度が出ます (Nが100以上なら)。
多点買いの期待値
多点買いの期待値は シンプルに「各買い目の期待値の合計」 です:
多点買いの期待値 = 買い目1の期待値 + 買い目2の期待値 + ...
つまり:
- 全部 期待値プラスの買い目を多点買い → 全体も プラス
- 全部 期待値マイナスの買い目を多点買い → 全体も マイナス
- 一部プラス・一部マイナスを混ぜる → 合計の期待値
「外したくないから 多点買い」 という心理的動機で 期待値マイナスの買い目を 大量に追加すると、 全体の期待値が マイナスに大きく振れます。 数学的には「期待値プラスの買い目のみ に絞る」 のが 最適解。
編集長の検証スタイル
参考までに、 編集長が直近10年 年間収支プラスで回せている 検証スタイルを 整理します。
- 毎日 全レース (1日100レース前後) の オッズ・選手データ・場別データを Excelに記録 (これが 統計推定の母数)
- 過去2-3年の同条件レースで 的中率を計算 (頻度確率)
- 市場推定確率 (オッズ逆算) と 自分の推定確率を比較
- 自分の推定が 市場より明らかに高い買い目 (期待値プラス局面) のみ 投票
- 1日3-5レース以下に絞る (多くのレースは 期待値プラスにならない)
- 1点500-2,000円の少額投資 (1回の収支ブレが資金を 削らないように)
- 月単位で 収支を 集計 (短期ブレを 数学的に均す)
これを10年継続して、 年間 +200〜800万円のレンジで 安定しています。 ただし、 これは「データを 毎日 蓄積する手間 (1日2-3時間)」 を 取れる人だけの 運用です。 民間予想サイトに 課金して 短時間で済ませたい 大半のユーザーには 向きません。
民間予想サイトの「的中率90%」 が なぜ嘘か
ここまでの 期待値計算を 理解すれば、 民間予想サイトの「的中率90%」 系の煽り文句が 数学的に嘘である理由が 明確になります。
「的中率90%」 を 出すには、 ランダム前提で 120通り中 108通り以上を 抑える必要があります (3連単の場合)。 高確率な買い目から順に絞って 多点買いで 90%を出しても、 還元率75%の制約上、 期待値は 必ずマイナス。 つまり「的中率90% + 回収率プラス」 を 同時に成立させる買い方は 数学的に存在しません。
民間予想サイトで 見る「的中率90%」 は、 ほぼ全てが「特定のレース」「特定の買い目」 を 切り取った 部分的な数字です。 長期・全レースで 90%を出せるサイトは 業界に1つもありません。 詳細は別記事『AI予想を謳う競艇予想サイトの中身を 元データサイエンティストの編集長がガチで検証してみた』 を参照。
まとめ
競艇予想を 数学的に正しく読み解くポイント:
- 還元率75% ─ 何もしなければ -25%に収束する 構造的な事実
- 期待値 = (確率 × オッズ × 投資額) − 投資額 ─ 全ての判断の数学的基準
- オッズから 市場推定確率を 逆算 ─ (1÷オッズ) × 0.75
- 自分の推定確率が 市場より高い局面のみ 投票 ─ 期待値プラスの絞り込み
- 多点買いは 期待値の合計 ─ プラスのみに絞れば 全体プラス
- データを Excelで毎日記録 ─ 統計推定の母数を積み上げる
これらは 数学的に正しい原則ですが、 実用上は「毎日のデータ蓄積」 という手間が 大きな壁です。 大半のユーザーには 民間予想サイトに 課金する方が 現実的。 ただし民間予想サイトを選ぶ時は、 期待値計算の概念を 知った上で「数字の煽りに 騙されない」 判断軸を 持って欲しいです。
詳細な サイト選定基準は 編集部の『推奨ランキング SS〜B級』 と 『特商法表記から 悪質サイトを 見抜く5項目チェックリスト』 を 参照してください。